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耐久性のバランス(屋根瓦・下葺材・野地板)

屋根瓦・下葺材・野地板のそれぞれの材料には、耐久性に差があります。例えば、瓦は80年経過しても、もっています。その下にある、下葺き材は30年で劣化しています。雨が漏ると、その下にある野地板は速やかに腐食します。雨漏りして、野地板が腐食して補修する場合、上から順番に撤去しなければなりません。下地を補修後にまた屋根材を再施工します。

瓦の撤去は難しく、再使用しようとする場合には、丁寧に割れないように降ろす必要があります。瓦を上から投げ下ろして廃棄して、新規の瓦を設置するのと変わらない金額の見積もりが出てくると、この際、新規にやり直そうということになります。施工店としても瓦を再使用するための手間をかけるよりも、新品に取り換える方が楽な施工になります。見た目もきれいに見えますので、請求もし易くなります。

本来、永い耐久性のあるはずの瓦も同時に没にしてしまうことになります。材料の耐久性のバランスが悪いのです。雨水は2次防水の下葺き材で止めなければなりません。下葺き材に関して、適正な材料選択と適正な施工が必要となります。

屋根や外壁のように、外気に面する部位では、建物内部への雨水浸入の可能性があります。1面何もない単なる壁・屋根では漏りませんが、穴をあける部位(開口部・貫通部)と、取り合い部位(継ぎ目)が問題となります。

木質系建物では、外壁でいえば、1次防水以外に、下葺き材(アスファルトフェルトや透湿防水シート)を2次防水として施工します。1次防水で防ぎきれなかった雨水は、2次防水で止めて、外壁通気層(1次防水の外壁サイディング材と2次防水の下葺き材との間の隙間約12~24mm)を流れて、自然に下方に排出します。若干は浸入する雨水を2次防水で防ぐわけです。1次防水だけでは防ぐことができない雨水を2次防水で防ぐことになるため、雨漏りに対して安全性が高まります。

一方、鉄骨造のALC外壁構造の建物は、雨漏りに対して脆弱な構造といえます。その理由は、ALC外壁材の多数のジョイント部分では、シーリング材(+吹付)のみで雨漏りを防止するからです。外から目視できる部位(外壁材やシーリング材・板金材など)は1次防水です。シーリング材の劣化により防水が切れると、即雨漏りになり、2次防水はありません。1次防水だけで雨水を防がなければならないわけで、条件が厳しくなります。

また、鉄筋コンクリート造建物では、屋上はアスファルト防水・塗膜防水など、「メンブレン防水」と呼ばれる不透水性被膜により、完全に覆いつくしますので、鉄骨造同様に、2次防水はなく、1次防水のみになります。これは防水工事であり、屋根工事・外壁工事とは異なります。鉄骨造よりは良いと言えますが、雨漏りした場合の水の浸入口を見つけるための散水試験では、最も多く時間がかかり、木質系建物の数倍の散水時間が必要です。浸出位置も離れて出る場合が多いため、原因追及が難しくなります。

木質系建物では、防水として完全に覆うことなく、屋根材・外壁材を部材単体として設置するだけです。一体化して密着させているわけではありません。したがって、防水機能としては不十分であり、1次防水以外に2次防水が必要となります。

メンテナンスも重要となります。一般には約10年ごとに1次防水であるシーリング材の打ち換えと、吹付け塗装が必要となります。この約10年というのは目安ですが、可能ならば諸般の事情もあり延長したいです。この費用は施工者責任ではなく、建築主負担となります。

雨漏りが発生した場合に、対処方法を間違うと、内部にダメージを残したままで外部の補修工事を完了させてしまう可能性があります。例をあげれば、下葺き材よりも下の野地板や垂木などの木部を特に調査しないまま放置し、瓦だけを補修するようなことが起こります。内部を調査しないままでシーリング工事を行うことが起こります。見た目はきれいに補修完了しています。

施工者の責任で、建築主に対し、メンテナンスの重要性・時期および概算費用について、建物を引渡す時期までに、納得のいく説明をしておかなければなりません。理解していない建築主が多いのです。その時の説明を理解していても、実際のメンテナンス時期には、時間経過により忘れてしまいます。建築主に対するコミュニケ-ション不足にならないようにします。メンテナンス時期までの期間に、定期点検時で会うたびに、何回も同じ説明を繰り返す必要があります。

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