2次防水の上を流れる雨水
木質系住宅の屋根の下葺き材の上に水が流れているということを説明します。ここは重要な点になります。
下左写真:高位置の棟近くの平板瓦の上に散水します。
下右写真:散水開始後10分で、低位置の軒先近くの瓦をめくりあげた状態です。
2次防水である下葺き材(アスファルトルーフィング・ゴムアス)の上に流れる水をよく見て下さい。このような現象が通常に起こります。屋根材の瓦だけでは防水にはならないということです。
屋根材の2次防水である下葺き材(アスファルトルーフィング・ゴムアス)の上には、かなりの量の水が流れていることを示しています。わずか10分程度の散水で、この程度の水です。雨は通常、数時間以上降り続きますので、更なる雨水が流れていることになります。
瓦相互の隙間から、水は容易に浸入することを示しています。台風時には長期間の強風・大雨が続き、瓦の隙間から浸入する雨水も大量になり、最悪の条件になります。
多くの雨水は瓦の上を流れて排出されますが、瓦自体には1面としての防水材の役目はなく、瓦単体を重ねて置いた状態です。瓦相互の隙間から、雨水は2次防水である下葺き材の上まで浸入することになります。そして2次防水である下葺き材の上を流れる水は、軒先から排水できれば雨漏りではありません。2次防水である下葺き材に不具合があると、雨水は下葺き材の下に浸入し、雨漏り現象となります。2次防水の重要性を示しています。
瓦以外の屋根材(カラーベストなどの彩色石綿板)も同様に、ジョイント部分の隙間から水は浸入します。シーリングで塞がれていても、若干の雨水浸入可能性があります。シーリングが劣化していくと、更に隙間は大きくなります。そもそも防水材ではない屋根材について、隙間を一切無くすということは難しいです。若干浸入する雨水を許容し、適正に排出させるという考え方が良いです。
シーリング材を塗りまくって、雨水浸入口を無くそうという発想は、うまくいかない場合が多いです。雨水は若干浸入してしまうものです。その結果として、雨水の浸出口をもシーリング材で塞いでしまうことになります。
屋根だけではなく、外壁も同様です。外壁通気層の透湿防水シートの外側には、水が流れていることになります。
雨漏りに対して重要な役割を担う下葺き材を紫外線から守り、経年劣化を防ぐための保護材が屋根・外壁の仕上げ材である瓦やサイディング材とも言えます。
木造ではなく、鉄筋コンクリート造・鉄骨造の建物では、屋上はアスファルト防水・塗膜防水など、「メンブレン防水」と呼ばれる不透水性被膜により、完全に覆いつくしますので、木造のような2次防水の概念はなく、1次防水のみとなります。
防水材と屋根・外壁材とでは機能が異なります。