お気軽にご相談ください!
06-7492-3417
相談・見積り無料!【受付時間】9:00~18:00
お問い合わせフォーム

雨漏り『悪魔の3仕様』(木質系住宅)

雨漏り発生の可能性の高い仕様があります。対策をとれば当然ですが雨漏りはしません。

いかに雨仕舞いの難しい設計であろうとも、打合せをして、適正な施工をすれば雨漏りは発生しません。

悪魔の3仕様」と称される雨漏りリスクの高い部位です。図面段階で、これらの部位があれば施工担当者としては要注意ということです。事前にどのような材料をつかって、誰がどのように納めるかを確認してから、その後に施工しなければなりません。

悪魔の3仕様 割合比較 急所
軒の出無し 軒の出有りに比べ雨漏り5倍 防水ラインの連続
外壁通気層無し 通気層有りに比べ雨漏り5倍 排水機能
陸屋根 適正勾配屋根に比べ雨漏り5倍 雨水の滞留

他に、内樋・木製サッシ・R(丸面)・設計事務所による設計なども雨漏り発生の可能性が高まります。

①軒の出無し

軒の出があれば、屋根と外壁の縁が切れているので、屋根屋は屋根屋で勝手に施工し、外壁屋は外壁屋でそれぞれ勝手に施工すればよいのです。

軒の出の少ない建物の場合は、屋根と外壁の縁が切れていないために、どのような対応をするか?

例えば、

大工:捨て防水シート(赤線)を大工が屋根仕舞をする際に、事前に材料を用意し、施工しておく。

屋根:捨て防水シートの上に屋根下葺き材(アスファルトルーフィングなど)を被せて施工する。

外壁:捨て防水シートの下端をめくりあげて、下から外壁下葺き材(透湿防水シートなど)をさし込む。

このような配慮をすれば、防水ラインは連続することになり、雨は漏りません。

打合せせずに、お任せにすると、通常の軒の出あり建物同様の納まりをします。

屋根下葺き材と外壁下葺き材は重なることなく突き付け状態となり、隙間ができます。本来ならば、雨水が入らないように、水下側を先に、水上側を後に施工します。

しかし、建物の建築では屋根を先行し、少しでも雨に当たらないようにします。水下側の外壁よりも、水上側である屋根を先行させて雨がかからないようにしています。

施工順番が逆になります。

だから雨漏り問題が生じます。

どのような材料をだれが用意してどのように施工するか、事前に打合せをしなければなりません。

②外壁通気層無し

「外壁通気工法」という施工法があります。雨漏れと通気工法がどういう関連があるのかを説明します。外壁通気工法とは、外壁サイディング工事、または左官工事でも可能ですが、外壁材と建物本体の構造体の間に通気層を設けるものです。その通気層の上下を外気に解放するのです。通気層すなわち隙間を設ける方法は金具や胴縁と呼ばれるパッキン材で外壁材を浮かせて取り付けます。直張りしないのです。通気層の更に室内側にはアスファルトフェルトや透湿防水シートなどの防水紙を貼ります。この防水紙はサイディング材料の1次防水と比較して、2次防水の役目を果たします。

この通気層を設けて、外壁材を浮かせて取り付けることになりますが、何のために通気層を設ける必要があるのかということです。実はこの通気層に若干浸入した雨水や結露水を排出してしまおうという考え方です。もちろん通気層ですから、空気を通すことにより、湿気の排出など耐久性をアップすることが主目的です。その主目的以外にもせっかく通気層という隙間空間を設けるわけですから、何か他にも利用できる機能を付加したいということで、1次防水の外壁材・シーリング材から浸入した雨水をいきなり2次防水のアスファルトフェルトにいく前に通気層を確保して排出します。

もし、サイディング直貼り工法のように、通気層がなく、直接に2次防水のアスファルトフェルトでシャットアウトすればタッカー部や防水紙の重なり部からの毛細管現象など、若干の漏水が起こる可能性があります。通気工法はサイディング直貼り工法よりも優れた工法といえます。最近はこの工法を採用される場合が一般的です。外壁仕様を標準的に直張り→通気工法へ変更したことは、サイディング業界の英断だと思います。この変更により、日本の住宅の耐久性に大きく貢献したものと思います。耐久性に影響を及ぼしますから、通気工法かどうかは確認しておく必要があります。空気の通り道である通気層の厚みは10~20㎜位が一般的です。以前に5.5㎜合板を入れて通気層5.5㎜厚さで実施したことがありますが、通気性能は確保できませんでした。これは空気には粘性があるためです。薄過ぎる厚さでは通気しません。細いストローでは上手く吸えないようなものです。

③陸屋根

陸屋根はじめ勾配の緩い屋根があります。屋根勾配が緩いと、雨水が排水されにくく滞留することになりますから、雨漏りの可能性が高まります。建築では水が滞留すると、ろくなことはありません。

通常の屋根勾配は、3寸~6寸勾配です。5寸勾配とは下辺10に対して立上り5の直角三角形を意味します。その斜辺が屋根部分です。これらの勾配では雨の漏れる可能性は少なくなります。屋根材メーカーもこの範囲の屋根勾配を想定して施工マニュアルを作成しています。この範囲から外れる場合は当然、何らかの追加対策を講じる必要があります。緩い勾配になるほど、雨漏れの危険性が増します。3寸未満の緩勾配になりますと、雨漏れ対策上、屋根下葺き材のアスファルトルーフィングが通常のものではなく、粘着性のあるレベルアップした材料(例:ゴムアスルーフィングなど)にする等の配慮が必要になります。

中には0.5寸~1.5寸勾配の屋根が設計されることがあります。屋根材料メーカーが施工可能とうたっているので、設計されます。防水工事ならよいのですが、この勾配を屋根工事で設計するのは、雨漏れの観点からは問題ですが、最近増加傾向にあります。このような場合は、施工上の特別対策が必要です。また緩勾配の屋根は水が流れるにしても速やかではありません。

それでは、急勾配になればなる程良いかといいますと、そうでもありません。別の問題が生じてきます。6寸勾配以上の急勾配になりますと、施工上危険と判断され、「屋根足場」施工が必要となります。法律で決まっていることです。当然仮設工事費用に反映され、割高になります。また、点検時も簡単には屋根に昇ることができず、遠くから目視するだけになり、点検しにくい状態・メンテナンスしにくい状態になります。

悪魔の3仕様である「軒の出無し」・「外壁通気層無し」・「陸屋根」と更に、内樋・設計事務所による設計・R面ありなど、雨漏りの可能性の高い部位を全て含む住宅が下の写真です。当然と言えば当然ですが、よく雨漏りします。施主の娘に「貴女の夢は何ですか?」と聞きますと、「雨の漏らない家に住むことが夢」だそうです。

お問い合わせ

雨仕舞のツボ

雨漏りのメカニズム

知って得する雨漏り対応の知識

番外編