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結露発生のメカニズム

雨漏りではありませんが、雨漏りと同じような被害が発生する場合があります。結露による被害です。雨漏りではなく、結露です。

結露とは室外の温度と室内の温度・湿度の条件により発生する水滴です。夏場に冷たいビール瓶を部屋に置きますと間もなく、ビール瓶の回りに水滴がつく現象のことです。

冷たいビール瓶の表面に、室内の暖かい空気が触れ、ビール瓶の近くの空気温度が急激に下がったために起きた現象です。暖かい空気中では含むことができた水蒸気が、冷たい空気中では含むことができずに余って、ビール瓶の表面に水滴となってでてきたのです。つまり温度の変化により、保有できる水蒸気量がかわるということです。その境目の温度を露点温度といいます。この温度以下で結露が始まります。そして建物外部と建物内部の温度差が激しくなるほど結露水は大量になります。

冬場の寒い外気に対して、建物内部を暖房しますと、温度差が大きくなります。断熱材のなかった昔はいくら部屋内部を暖めても暖まりませんでした。また隙間も多くありましたから、自然と換気ができ、結露による被害は少なかったのですが、現在の建物のように気密性・断熱性が上ると結露による被害が多くなりました。

逆に、夏場の暑い外気に対して、建物内部を冷房しますと、温度差はやはり大きくなります。夏結露という現象です。やはり冬場と同じように結露が発生します。要するに温度差があれば結露は生じます。この結露した水が雨漏りと同じように悪さをすることになります。

では、どのくらいの条件で結露がおこるのか見てみましょう。詳しくは「空気線図」というものを参照しながら、温度条件をみればわかります。

例えば、室内温度20℃、相対湿度60%の場合、結露が発生する室外温度は、

アルミサッシ枠は7.7℃
単板ガラス3㎜は8.5℃
ペアーガラス3+6+3㎜は-2℃(6㎜は空気層)
ペアーガラス3+12+3㎜は-5℃で結露発生となります。(12㎜は空気層)

ガラスが単層のシングルガラスは温度を非常によく伝える性質をもっています。冬場の外気温度からして、室内の相対湿度が65%前後になりますと、ガラスが複層のペアーガラスでもシングルガラスよりは良い条件ですが、結露発生がおこることになります。通常は暖房室においては60%未満であり、結露はおきにくい状態です。開放型ストーブの使用(特にストーブの上にヤカンを置いて水蒸気をバンバン発生させる場合は最悪となります)や、子供の多人数就寝の場合等、室内において水分発生が多い場合は、相対湿度が上がり、結露が発生します。住まい方の問題も大きく影響することになります。

非暖房室では室内温度が8℃前後になり、湿気を含むことができなくなります。一方暖房室からは湿気が非暖房室に流出します。相対湿度は80%前後まで上昇する状態です。ペアーガラスでも外気温度が0℃前後であれば確実に結露することになります。ペアーガラスは結露に対しての条件はシングルガラスに比較して大変良いのですが結露が起きないわけではありません。起きにくいというだけです。

結露を抑えるために、充分な換気をすることと、水蒸気の発生を抑えることが重要です。

①洗濯物を室内に干さない。
②室内の観葉植物鉢植えが出す水蒸気も無視できない。
③密閉型の暖房機や水蒸気が発生しない暖房機を使用する。
④風呂のフタは開けっ放しにしない。
⑤加湿器の使用は控えめに。
⑥炊事や浴室の水蒸気を早く排出する。
⑦カーテンや障子は長時間閉めたままの状態にせず、こまめに開ける。
⑧就寝中に体から発散される水蒸気は無視できない。

下の写真は小屋裏の結露状況です。この建物は屋根が「方形:ほうぎょう」という形状でした。この屋根形状の場合は問題があります。屋根の棟木に相当する部分がなく、屋根トップからの換気がゼロではないのですができにくいことにあります。構造上どうしても少ない換気しかできません。

屋根の野地板では、北面全面に渡って、カビだらけの濡れた状態でした。小屋裏換気が不充分なために起こった現象です。

計算上は軒裏天井からの換気を計算にいれますが、現実は小屋裏で、太陽により熱せられた軽い空気が上昇するため、うまく換気ができません。屋根の最上部から空気を抜くことができれば(換気をすれば)効率の良いことになります。

ただしここでも問題の雨漏れ対策は重要です。何しろ屋根に穴を開けて換気しようとするわけですから、失敗すれば即雨漏りになってしまいます。各メーカーが過去の経験を踏まえ、改善改良を繰り返したところです。雨を入れないという絶対条件において、小屋裏の換気をしましょうということですから、基本的に難しいことなのです。

外国製で木製の大きなトップライトでペアーガラスです。冬場は毎日ガラスに水滴が付きます。取ります。またすぐに付きます。取りますの繰り返しです。従って、トップライトを開けて換気をすることになります。ものの1時間も開けておくと、ガラスに発生した結露は見えなくなります。住宅では換気が重要です。最近は24時間換気が採用されますので、換気扇の作動を止めない限り、換気は充分といえます。

新陳代謝の激しい小さな赤ん坊と両親が同じ部屋に寝れば、この結露は更に多くなります。観葉植物を置くと結露は更に多くなります。洗濯物を室内で干すと結露はとんでもない量になります。しかし、通常は放っておく場合が多いと思います。これも結露の水滴がガラス面の勾配により垂れてきます。行き着くところは枠の木製部分の腐り、クロス下地の石膏ボードから内部へ入り、カビの発生につながります。時間が経つと真っ黒のカビだらけという場合もあります。これも放って置くと腐朽菌・シロアリの発生や構造体の腐りになり、大変なことにもなりかねません。

雨漏りも、結露による水滴も同じように、建物の構造体に悪さをします。カビ・ダニの原因になり、建物の気密性とあいまって、アトピーによる被害も増加しつつあります。建物の耐久性はやはり換気がポイントになります。

最近は24時間換気が通常になってきました。隙間からの換気ではなく、計画換気として、給気口と排気口を明確にします。熱量のことが気になって、せっかくコストをかけて暖房した温度を換気によって排出するのは「もったいない」という気になります。住宅ではどうしても冬場の換気はされにくい傾向にあります。しかし、建物の耐久性という観点で考えますと、換気は必ずしなければならないものです。建物の換気の必要性は極めて重要です。例え冬場の寒い時期でも換気は必要なのです。

耐久性を上げて建物を少しでも永く使うべきです。これが環境面で優しいということとイコールになります。日本では過去において、建物を建てて30年位生活した後、解体撤去し、また新築をしてきました。本当に使用に耐えることができなければ、仕方のないことと理解できますが、構造体は全くといってよいほど、痛んでおりません。ただ飽きてイヤになっただけのことです。設備が陳腐化しただけのことです。表面の石膏ボードを1枚外してみると、きれいな構造体がみえてきます。表面だけがちょっと汚れてきただけです。

できるだけ耐久性をあげて、建物を永く使用することが、これからの環境面を配慮した住まい方です。従って、それを拒む雨漏り・結露による被害は管理を適正に行って対策をしなければなりません。

日本人は世界一の健康長寿国になりました。しかし、日本の住宅は世界でも類を見ない短期間しか耐久性がないというデーターになっています。家を消耗品ではなく、耐久性のあるものとして大切にする文化が必要です。

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