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なぜ漏るのか?1次防水と2次防水とは

1次防水とは、外から見える仕上げ材をいいます。2次防水とは、その下葺き材をいいます。木造建物の雨漏りは、1次防水+2次防水のセットで考える必要があります。屋根材・外壁材のみといった1次防水だけでは、雨漏りを完全に防ぐことはできません。屋根瓦の隙間から若干浸入する雨水を、2次防水で防ぎます。屋根では、2次防水のアスファルトルーフィングの上には雨水が若干流れていることになります。外壁では、2次防水の透湿防水シートの外側には雨水が若干流れていることになります。ここは重要な概念となります。

屋根 外壁
1次防水 根材・板金・シーリングなど、
外から見える部分
外壁材・板金・シーリングなど、
外から見える部分
2次防水 捨て板金・下葺き材(アスファルトルーフィングなど)、
外から見えない部分
捨て板金・下葺き材(透湿防水シート・アスファルトフェルトなど)、
外から見えない部分

2次防水が完璧な材料と施工であれば、雨漏りは発生しません。

新築時なら対応可能です。雨水の浸入を、屋根瓦や板金などの1次防水で、できるだけ防ぎます。防ぎきれない若干の雨水については、下葺き材の2次防水で防ぎます。2次防水である下葺き材のアスファルトルーフィングの上には、雨水が流れています。建物本体を傷めないうちに、速やかに雨水を排出します。2次防水を突破した雨水が、雨漏りになります。雨漏り補修工事を行う際、屋根・外壁の一部をめくってみると、2次防水のどこかに不具合が発生している場合が多いです。

雨漏りに関しては、2次防水の適正材料使用を前提として、2次防水の施工が生命線になると言えます。しかし、残念なことに現場では2次防水の施工が丁寧にされにくい傾向にあります。屋根・外壁ともに、下葺き材を施工完了後は直ちに次の工程に進みます。下葺き材だけで見える期間は1日もありません。本来なら、下葺き材検査として、工程の中に組み込んでおくべきものです。工期短縮を下葺き材で行ってはいけません。職人としては、見えない部分よりも、見える部分に力を入れることが多くなります。

雨は上から下に降るだけとは限らず、風により、横からはもとより、下から上に舞い上がって降る場合もあります。雨水は極めて小さな隙間からも浸入します。

屋根下葺き材に使われる材料

屋根の下葺き材として使用されるものは、「アスファルトルーフィング940」です。通常の屋根勾配(3寸~6寸)で、問題の少ない一枚屋根のような場合です。トップライト・ドーマー・煙突・換気トップ・下屋・棟・隅棟・谷などの、何らかの取り合いがある場合は、雨漏りに関しては条件が極端に悪くなります。当然、雨漏りに対する追加対策を講じる必要があります。たとえば、問題個所の周囲のみ、増し張りとして2重にアスファルトルーフィング940を増し張りするか、あるいはレベルアップした改質アスファルトルーフィング(性能を上げるために合成ゴム・プラスチック樹脂などを添加したもので、通称ゴムアスルーフィングといいます)や粘着性のある高分子系シートおよびゴムアス防水紙を使用します。表記にある940とは、1㎡あたりの重さが940g以上あるという意味です。21mで1巻きになっており、昔の表現では「22kg/巻」といっていました。これより軽いと、性能に問題があるといえます。

張り方は当然ですが、水が流れやすいように、水の流れる下から先に張ります。そして順次、水上に向かって張ります。水の流れに逆らうことはできません。アスファルトルーフィングの重なりは、流れ方向100㎜、横方向200㎜が標準です。

張流れ方向100㎜、横方向100㎜とする場合もあり、会社によって、基準が異なります。水を受けずに、滞留させずに、速やかに流してしまうというのが基本です。

棟・隅棟・谷といった取り合い部は雨漏りの可能性の高い部位となりますので、増張り補強が必要となります。

外壁下葺き材に使われる材料

外壁の下葺き材として使用されるものは、「アスファルトフェルト430」です。「透湿防水シート」が使われる場合も多いです。湿気は透過するが、水はシャットアウトするという優れものです。水蒸気は雨水と比較して小さい粒子であるために、防湿層を設けてもある程度の浸入が考えられます。そのための対策として、サイディング材の室内側に通気層を設けて、上下に解放します。水蒸気が屋外に拡散するための通り道をつくります。この通気層の効果により、壁体内の湿気が外部に排出され、またサイディング材の接合部分から浸入した若干の雨水も、速やかに排出します。

金額はアスファルトフェルト430と比較して、若干アップします。出隅・入隅の加工も、アスファルトフェルト430と比較してゴワゴワしておらず、施工しやすいのです。

表記にある430とは、1㎡あたりの重さが430g以上あるという意味です。屋根下葺き材の21mとは違って、42mで1巻きになっており、昔の表現では「20kg/巻」といっていました。これより軽いと、性能に問題があるといえます。

張り方は当然ですが、垂直の外壁の水が流れやすいように、下から先に張ります。そして順次、上に向かって張ります。この逆の張り方をしますと、水を受けてしまいます。

アスファルトフェルトの重なりは、流れ方向100㎜、横方向200㎜が標準です(外壁材メーカーによっては、流れ方向90㎜、横方向150㎜以上となっています)。しかるべき重なり長さを確保した上で、隙間無く張ることになります。隙間無く張ることができれば、雨漏りはしないことになります。

いかなる場合であっても、現場で水の流れに逆らって張ることは不可です。水の流れに逆らって張ることは自然の法則に逆らうということであり、将来必ず、何らかの問題が生じると思って下さい。水を受けることになれば、その個所で水が滞留します。水がほんの少しでも、アスファルトフェルトの重なり部分に浸入しますと、徐々に浸入する水量は増加します。

屋根は防水性能だけが問題でしたが、外壁の場合は屋根と違って、防水性能以外に透湿性能という問題が生じます。室内からの湿気を、外壁の壁体内を伝わって外部に排出させる必要があります。外壁にアスファルトフェルトの代わりに、透湿性能を重視した透湿防水シートを施工します。防水性能のみを考えた屋根の下葺き材を外壁に使用すると、防水性能はアップするものの、透湿性能をダウンさせ、結露という別の問題が発生しますから不可です。

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