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意見書(反論文)に対する反論

本件建物に発生している雨漏り現象について、雨水の浸出箇所は、申立人から指摘しますが、雨水の浸入箇所は不明です。今回実施した散水試験は、雨水浸入口を特定するという“目的”のために、散水試験を“手段”として採用し、雨漏り現象を再現して立証したものであり、単に水を漏らすことを“目的”として実施したものではありません。

そもそも申立人は、入居者として気付いた雨漏り現象について、雨水の浸出口を指摘することが可能です。入居者でないとわからないことです。申立人が雨水浸出口を指摘すれば、本来は相手方(施工者)が、散水試験を実施し、雨水浸入口を特定し、補修するべきものと考えます。

しかし現在、瑕疵を主張する申立人に、雨漏りの立証責任があると解釈されております(異なる見解もあります)ので、実施した散水試験です。雨水浸入口の特定については、散水試験を実施して、雨漏り現象を再現して初めて、浸入口であることが証明できます。信頼性の点で、散水試験が最適な方法であると考えております。

散水試験報告書に記載通り、雨漏りは、①雨量・②風の向き・③風の強さ・④継続時間4つの条件の組み合わせにより発生します。風がなく、上から下へ降るだけの雨の場合には、雨漏りしないことが通常です。無風状態の雨で雨漏りしたら困ります。この場合には、雨が降れば常時雨漏りすることになります。多くの場合、気象条件により雨漏りするときと、雨漏りしないときがあります。上記の4つの条件の組合せによるからであります。

問題は、風の強い場合です。台風などの強風雨の場合には、雨漏りに対しては最悪の条件となります。雨水は、風の影響で、横からは当然、下から上に向かって舞い上がる場合もあります。したがって、強風雨後には、雨漏り問題が多く発生しています。普段は雨漏りしていない建物であっても、強風雨時には雨漏りする場合があります。風の影響によるからです。雨漏りしている建物であっても、風が吹かなければ雨漏りしない場合が多いです。強風雨は特別に過酷な気象条件ではなく、現実に現場で強風雨が発生しているからこそ、雨漏り現象が発生しているものと考えます。

現実に雨漏りしている以上、「雨漏りはしていない、この程度の雨漏りは許容範囲だから仕方がない」という主張はできません。雨漏りするという結果がある以上、必ず雨漏りする原因があるはずです。原因の多くが、施工の不具合によるものです。散水試験により明確になった雨水浸入口の周辺を破壊検査してみると、施工上の不具合点が見つかることが多いです。

なお、散水試験は通常の雨よりも圧力を高めてピンポイントで散水しています。強風雨を想定しているからですが、特殊な高圧器具ではなく通常のシャワーヘッドを使用しています。霧雨状態の緩い散水では水が浸出するまでにかなりの時間が必要ですので、散水時間の短縮が目的です。

「散水試験の内容に疑義がある」との指摘に対して

①「通常、真横や下側から雨が吹き付けることはない」との見解をされていますが、異議がありますので反論します。

それは風のない場合に限定した話です。それならば雨漏りはしないはずです。日本の気象で、風がゼロの場合の方が圧倒的に少ないです。雨漏りは風による影響が極めて大きく、決して無視できるものではありません。したがって、強風雨後に雨漏り被害を訴える場合が多くなっています。

②「一般的に建物は、雨が真横や下側から吹き付けることを前提として雨水の浸入を防ぐようには造られていない」との見解をされていますが、異議がありますので反論します。

風がなければ、屋根(屋上)・バルコニーなど水平面からのみ雨漏りするはずですが、実際は、外壁面や外壁開口部などの垂直面から雨水浸入することの方が多いです。

(住宅保証機構資料参照)

風の影響が大きいという意味になります。風の影響を考慮して、外壁面や外壁開口部に対しても雨漏り対策を講じなければなりません。

③「実施された散水試験の方法であれば、本件建物以外の建物でも雨水の浸入が起こるのが通常」との見解をされていますが、異議がありますので反論します。

他の建物でも雨漏りが発生するから、本件建物に発生する雨漏りは、許容範囲内であり問題はないとはいえません。他の建物ではなく、本件建物の雨漏りについて論じています。

④「傘をさしている人間に、足下から顔や体に向けて水をかけて、水がかかったのは傘に問題があると指摘している例え話」ですが、異議がありますので反論します。

傘をさしている人間は、傘の下部は無防備な状態であり、水をかければ濡れます。人間に水をかけるのではなく、本件建物に発生している雨漏りについて論じています。

例え話ではありますが、人間が傘をさしている状態をイメージして建物づくりをしているのであれば、建物内部に雨水浸入を許してしまう意識とも考えられます。

1階を駐車場にするなどの「ピロティー形式」の建物では、1Fは柱だけで外壁がなく、風がある場合には、雨は当然に吹き込みます。

本件建物は、ピロティー形式ではなく、屋根(屋上)・外壁に覆われて雨を防いでいます。通常の建物と同様ですが、屋根(屋上)や外壁から居室内への雨水浸入を許容していません。

本件建物では、散水試験を実施して、多数の雨漏り浸入口を特定しました。浸入口と浸出口を明確に証明したことになります。他の部位からは雨漏りしないということは証明できません(悪魔の証明)。これだけの雨水浸入口があるということは、雨漏りに対しては脆弱な建物であると評価せざるを得ません。

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