散水試験
雨漏りの浸出口に対して、浸入口を的確に全部見付けなければなりません。その方法は散水試験の実施です。最も確実に見つける方法となります。雨漏り現象を再現して初めて立証できるわけです。散水試験を実施せずに、経験と勘で進める場合もありますが、確実性から言うと問題です。また、含水率計や温度差を感知するサーモグラフィーカメラなど各種計器を使用する場合もありますが、補助用具としてはいいですが、散水試験の実施が最も確実な証明手段になります。
事前準備として、散水試験に充分な時間をかけて実施し、雨水の浸入箇所を完全に把握した上で、補修工事に着手します。散水試験が充分でない場合には、補修工事完了直後に、雨漏りが再発することが非常に多いです。
散水試験を実施して、雨水浸入口を特定すると雨漏り現象を再現したことになり、証明できます。しかし、30分散水して雨漏りしなければ雨漏りしないという証明にはなりません。1時間散水すると雨漏りするかもしれません。規準があるわけではありません。ここが悩ましいところです。
鉄筋コンクリート造では、4時間散水して雨水が浸出する場合もあります。床のコンクリートスラブに滞留した水が、コンクリートの欠陥であるジャンカなどを通じて、少しずつ滲みだしてきます。すぐには出ません。そもそもコンクリートに欠陥がなければ、水は滞留したままということになります。
雨水の浸入口を完全に見つけることは難しく、雨漏りは、雨水の浸入口を的確に見つけることが生命線になります。
天井点検口がないと浸出確認しにくいです。天井点検口がない現場も多く、散水試験の実施前に天井点検口の開口施工が必要な場合もあります。コストもかかります。本来は、新築時点で点検できるようにしておくべきものです。デザイン上は点検口なしの方がきれいです。その時の施工は楽であり、建築主に小屋裏・床下のアラ探しされることがないのですが、後から苦労します。
吹付断熱材が施工されていると浸出確認しにくいです。また吹付断熱材により、水が出にくく、位置がズレて、浸出してくる場合もあります。